代表メッセージ

渡邊 悠子
代表理事 渡邊 悠子(わたなべ ゆうこ)

音楽は、世界共通のことば。
あらゆる違いを超えて心に届く「みんなのことば」です。

「楽器を手にする子どもは、武器を手にしない」

私がこの言葉に出会ったのは、大学4年生の時です。
コロンビアのウリベ大統領が、この言葉をスローガンに掲げ、音楽で地域の治安を改善し、地域を元気にする政策を打ち出した、という新聞記事でした。その頃の私は、大学に行きながら音楽家派遣ビジネスの会社を経営する日々。結婚式やパーティーへ生演奏を派遣し、プロデュースする仕事をしていました。
この言葉は、戦争のない日本で育った私には、正直ピンときていませんでした。

子どもたちに届けたコンサート

そのような中、私立の幼稚園などから仕事をいただき、コンサートを届けることがありました。その時の現場には、結婚式やパーティーの仕事にはない感動がありました。
「生演奏なんて生まれて初めて」という子どもたちが、食い入るようにコンサートに集中し、音楽に合わせて自然と体を動かしたり、笑ったりして、最後は「ありがとう!」と音楽家たちに駆け寄ります。先生からは「普段言葉を発しない子どもが、声を出しました」「あんなに生き生きとした子どもたちの顔が見られるなんて」と感動の言葉がたくさん寄せられました。そして、音楽家たちが感動をもらい、達成感を感じているのです。

コンサートが終わった後は、みんながひとつになりました。
「ありがとう」「また来てね」「また来るよ」と見えなくなるまで手を振っています。

「楽器を手にする子どもは、武器を手にしない」
感動で心が震えながら、この言葉の意味を初めて実感しました。
音楽は、心を豊かにするのです。子どもたちの心だけではなく、関わったすべての大人たちの心も。
今の日本に、必要なことではないでしょうか。
私は、子どもたちにコンサートを届けていくことを決心しました。

NPOみんなのことば の設立

しかし、コンサートを体験できる子どもたちは、本当に限られていました。家庭や保育の現場では求めてられていても、国や自治体にとって、子どもたちのための文化・芸術への優先順位は低いのが現状です。独自で予算を準備できる施設だけに届けるスタイルに限界を感じ、1人でも多くの子どもたちへコンサートを届けるため、2009年にNPOみんなのことばを設立しました。

現在は、活動に賛同してくださる方々からサポートをいただき、「待っている人のもとへどこへでも」という想いで、幼稚園・保育園や、施設、震災の被災地などへコンサートをお届けしています。

これからの音楽家たちの希望に。

活動に参加しているのは、プロとして活躍する若手音楽家たちです。
目の前にいる子どもたちのことを真剣に考え、全身全霊で演奏し、素直な反応を受けることが、芸術家・表現者としての成長の場になっています。彼らの活躍は、これからプロを目指す後輩たちにとって、必ず希望になっていくはずです。

音楽家たちの真摯なパフォーマンス。そして子どもたちの素直な心。また、そのきっかけを作ってくれる先生や保護者の子どもたちへの思い。すべてのコンサートで、みんなの心がひとつになり、驚くほどのパワーとキラキラした笑顔があふれています。

心が豊かな、日本の未来を。

人々の心を豊かにする。音楽にはそれができると、確信しています。
「音楽を待っている人」のもとへ、どこへでも。
私たちは、届け続けてまいります。

2013年2月
渡邊 悠子

【プロフィール】
千葉県出身。上智大学比較文化学部比較文化学科(国際ビジネス専攻)卒業。
3年生在学中に、生演奏派遣・音楽家庭教師派遣・音楽ベビーシッター派遣を手がける株式会社エルパで1年間のインターンシップを経て、2003年、代表取締役に就任。最初の1年半は大学へ通いながら、2007年末までの4年間代表を務めた。在任中に東京都千代田区の紀尾井ホールで行った株式会社エルパ主催「家族で楽しむクラシック」では総合プロデューサーを務め、赤ちゃんも一緒に楽しめるクラシックコンサートを開催。好評を博した。
2008年より1人でも多くの子どもたちへ楽しい音楽との出逢いを提供するため、新たにNPOみんなのことば の活動を開始。幼稚園、施設等へのコンサート提供、紀尾井ホールでの主催コンサートなどを経て、2009年3月に特定非営利活動法人化。