名作もはじめは叩かれた?!スキャンダルが”渦巻く”交響詩『海』

ドビュッシー

10月7日(月)のHAPON Morning Lounge、BGMテーマは「名作もはじめは叩かれた?!スキャンダルが”渦巻く”交響詩『海』」です。

HAPON Morning Loungeは、毎週月曜日の朝、シェアオフィスのHAPON新宿とNPOみんなのことばがお届けしています。
新宿近郊の方、乗り換えで使っているよ!という方、月曜日はちょっと早起きをして、心にゆとりのある1週間のスタートをHAPON新宿でお過ごしください。

▼7日(月)のBGMの解説は、こちらをご覧ください。

ドビュッシー 交響詩『海』

近代フランス音楽を代表する天才作曲家・ドビュッシー。
この極めて独創的かつ革命的な作品を生み出すクラシック音楽界の異端児、ドビュッシーの最高傑作といえばこの作品をおいて他にはありえない…今回モーニングラウンジで取り上げる交響詩『海』である。

ドビュッシー自身、「音楽家にならなければ水夫になっていただろう」という言葉を残す程の海好き。そんな愛して止まない海の情景を絢爛豪華なオーケストレーションで描きあげるこの作品。1905年に出版された総譜の表紙には、葛飾北斎の「富獄三十六景」より「神奈川沖の浪裏」という浪が逆巻くダイナミックな構図でお馴染みの浮世絵が印刷されていた。当時ヨーロッパで流行していた東洋文化を表紙に抜擢するとはさすが先進的なパリの楽壇である。

そんな、時代の最先端をいっていたはずのこの作品だが、初演に至っては紆余曲折の顛末が繰り広げられることとなる。 以前このモーニングラウンジでドビュッシーを取り上げたときそのプレイボーイっぷりは散々お伝えしたと思うが、この『海』の初演に際して彼が起こしてきたスキャンダル(不倫の末、離婚そして再婚。のち前妻が自殺未遂…)にオーケストラの楽団員はリハーサルから背を向け拒絶反応を表してしまう。もちろんそんな状態ではいい演奏ができるはずもなく、評論家たちからの批評も否定的な意見ばかりであった。この悪評は3年後、ドビュッシー自身の指揮で再演されるまで覆ることはなかったというから驚きだ。

どちらにしろ、結果的にこの作品が20世紀音楽の最高傑作と評価され現代に伝わっていることは素直に喜びたい。ドビュッシーはこの作品の『海』を、『これは写実的な海ではなく、記憶の中にある海である』と言っていたと言われている。 貴方の記憶の中にある海…想像と思考を膨らませながら音楽に寄り添う、これぞクラシック音楽の真の醍醐味であるのだ。

NPOみんなのことば アートマネージャー
ヨコミゾヒロユキ

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